奥村昭雄

建築家・家具デザイナー(1928–2012)

奥村昭雄のモノクロのポートレート。ニットのセーターを着て、横を向いて微笑んでいる。

奥村昭雄は1928年東京生まれ。1952年に東京美術学校建築科を卒業し、1958年から1964年まで吉村順三設計事務所に在籍しました。その後、東京芸術大学建築科で助教授・教授を務め、1987年に退官し名誉教授となりました。

同じ1987年、有限会社木曽三岳奥村設計所の代表取締役に就任。木曽の工房とともに、建築の仕事と並行して家具の設計と製作を続けました。1996年には第24回国井喜太郎産業工芸賞を受賞しています。

住宅から学校・保育園まで幅広い建築作品を手がけました。大きな仕事としては、吉村順三とともに設計した愛知県立芸術大学のキャンパスがあります。そのかたわら、椅子やテーブルなどの家具を数多く設計し、その家具は現在もKAJARTの工房で作り続けられています。

略歴

  1. 1928 東京生まれ
  2. 1952 東京美術学校建築科卒業
  3. 1958–1964 吉村順三設計事務所
  4. 1964 東京芸術大学建築科助教授
  5. 1973 東京芸術大学建築科教授
  6. 1987 東京芸術大学退官・同名誉教授。有限会社木曽三岳奥村設計所 代表取締役
  7. 1995–2002 OM研究所所長
  8. 1996 第24回国井喜太郎産業工芸賞
  9. 2012 12月 没

太陽と空気と木 — OMソーラー

奥村昭雄の建築におけるもっとも広く行き渡った仕事は、OMソーラーと呼ばれるパッシブソーラーシステムの開発です。屋根の下で太陽に温められた空気を建物の中へ送り、床下に蓄えて、暖房と換気に、仕様によっては給湯にも生かす。後から取り付ける装置ではなく、屋根・空気の通り道・床・間取りをひとつのものとして設計し、住まいそのものが環境の仕組みとして働きます。

1995年から2002年まで、奥村はOM研究所の所長を務めました。この仕組みは自身の建築をはるかに超えて広がり、OMソーラー社の記録によれば、日本全国で2万5千戸を超える住宅と、数百の学校・公共施設などに採用されています。

現代建築への影響は、ひとつの有名な建物ではなく、考え方そのものにあります。熱と空気と日差しを、木材や間取りと同じ建築の素材として扱うこと。この姿勢は奥村のもとで学び働いた建築家たちに受け継がれ、環境を意識した日本の住宅設計のなかに今も生きています。素材と気候と身体の関わりをみつめる同じまなざしが、この工房の家具にも通っています。

家具

著書

  • 奥村昭雄のディテール , 彰国社 , 1986
  • 暖炉づくりのハンドブック , 建築資料研究社 , 1991
  • 木の家具作り , INAX出版 , 1994
  • 時が刻むかたち , 農文協 , 2003
  • 樹から生まれる家具 , 農文協 , 2004